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新剤の発見経緯
KIM-112KIH-2023 / KIH-2031の発見経緯 / KIH-9201KIH-6127KIF-3535
KIH-2031の発見経緯

ステイプル KIH-2031は、KIA-8921のNa塩である。
KIA-8921は2-クロロ-6-(4,6-ジメトキシピリミジニルチオ)安息香酸で、やはりKIA-1283系化合物である。
 KIA-1283系は、安息香酸のオルソ位にピリミジニルオキシ基又はチオ基が結合した構造を基本骨格としている。
 KIA-1283の合成後直ちに構造と活性の関係が調べられ、ピリミジン部位はジメトキシピリミジンが最適であることが判った。次いでオルソ-ピリミジニルオキシ安息香酸のベンゼン環にクロル基、メチル基、メトキシ基等の基本的な置換基の導入を行った。
 その結果、KIA-3291(2-クロロ-6-(4,6-ジメトキシピリミジニルオキシ)安息香酸メチル)が約500g/haの薬量で、土壌処理において棉に対し選択性を示し合格した。

ステイプル KIA-3291は、KIA-1283系化合物の中から棉用除草剤を創製するプロジェクトのパイロットとしての役割を果たしたが、そのものの活性は本系統化合物としては低いものであった。その原因はKIA-3291のメチルエステル基は、両オルソ位に置換基があるため安定で、活性本体のカルボン酸になりにくいためと考えられた。実際、加水分解を行うとメチルエステルよりも先にピリミジニルオキシ基の方が分解し、カルボン酸を合成することはできなかった。活性本体のカルボン酸を合成しようと、加水分解の反応条件を種々検討したり、求核反応試薬を水以外のシアン、ハロゲンやチオールに変えて検討を行ったが、何れも穏和な条件では全く反応せず、反応条件を厳しくするとジメトキシピリミジニルオキシ基が反応してしまい、目的物を得ることができなかった。
 そこで求核反応ではないエステルの脱保護法はないかと合成化学の本をひっくり返して見てみると、ベンジルエステル加水素分解法が解説してあった。
 その反応機構の解説を読んで、これは使えると思いKIA-5034の合成に応用した。

 今から思えば合成屋としては恥ずかしい話ではあるが、この加水素分解法に行き着くまでに8ケ月も要してしまった。これも今にしては幸いなことだが、しばしば副反応として観測される脱クロル化が起こることもなく、この方法によりKIA-5034を合成することができた。
 余談になるが、この加水素分解法がKIA-1283系化合物の中で高活性体である6-位置換体の一般的合成法になり、ノミニーを始め、多くの誘導体合成を可能にしたのであった。
 KIA-5034は予想通りKIA-3291よりもはるかに除草活性が強く、10g/ai前後の薬量でトリフルラリン+コトランと同等以上のスペクトラム・活性を示した。

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